睡眠前にヨガやストレッチを行うと、ぐっすり眠ることができると言われています。睡眠前の呼吸が上がるような激しい運動は反対に寝つきが悪くなる傾向があるといわれています。睡眠前の運動は良くないとされているのに、なぜヨガは許されるのでしょうか。それはヨガが呼吸に合わせ「ゆっくり」体を伸ばしたりひねったりすることで、血液の循環が良くなり、リラックスできるからです。
今回はヨガが睡眠にどのような効果をもたらすのか、おすすめのヨガ体操についてもご紹介いたします。
ヨガによる睡眠への効果
睡眠の深さに大きく関わっているのは「リラックス」です。リラックスしているということは自立神経系、副交感神経が交感神経よりも優位となります。ストレスや不安などの要素によって交感神経が副交感神経よりも優位になってしまうと十分なリラックス状態に入れず、睡眠にもマイナスな影響があります。睡眠中に何度も目が覚めてしまう中途覚醒、睡眠時間はたくさんとったのに朝起きてもなんだかスッキリしないといった睡眠障害は十分なリラックス状態に入れないことが原因となる場合があります。こういったマイナスな睡眠症状が続くことで「不眠」となり、日常生活に支障をきたす深刻な問題へと発展していく可能性があります。ヨガはこのような自律神経の乱れを解決することができるといわれています。
ヨガはバランスが崩れた自律神経を整え、リラックス作用を高めるための手段なのです。
睡眠不足には肩こりや腰の痛みといった身体的要因も影響があります。ヨガのポーズには普段の生活で固まった体をほぐす効果があります。特に全身の力を脱力するポージングはヨガの中で最もリラックス効果のあるポーズであるといわれています。またヨガの呼吸法も身体の血行を向上し、代謝をアップする効果があるといわれています。ヨガの特徴である深い呼吸を行うことで、体全体に酸素が行きわたり、身体がポカポカと温かくなっていくことを実感できる方もいらっしゃるかもしれません。血行が良くなると、体に溜まっている老廃物や毒素が流れやすくなります。この状態では細胞の修復が行われるので、疲れがとれる効果もあるようです。
深呼吸は心を落ち着ける作用もありますので安眠効果が期待できます。さらに呼吸の効果では、セロトニンというホルモンの分泌が増加するといわれています。セロトニンは心を落ち着かせる作用のあるホルモンです。セロトニン分泌が増加で誘眠作用がはたらき睡眠の質が向上する傾向があるようです。
その他にもヨガは睡眠によいという理由があります。それは「瞑想」による効果です。瞑想には脳を休める作用があります。ヨガにより瞑想を深めていくことで、心が安定していき頭の中に何も浮かばなくなり脳の休憩につながるのです。
人間は日常生活では様々なストレスを受けながら生活をしています。無意識に緊張したり、身体に力が入ったり、そうした日々を過ごすことで身体には疲労が蓄積されていくのです。ただ目をつぶりゆっくり呼吸すること、身体の力を抜くことでも効果があります。疲れやすいと感じている方は瞑想をするだけでも睡眠作用を感じることができるでしょう。また瞑想には集中力を高める効果があると言われています。
瞑想の効果には個人差がありますが、普段力んでいることが多い人、ストレスを多く感じている人ほど瞑想による効果を感じやすい傾向があるようです。瞑想は多くの大企業にも取り入れられているリフレッシュ方法として注目されています。あのAppleのスティーブ・ジョブスをはじめ、Microsoftのビル・ゲイツなどの世界を牽引する企業のリーダー達が瞑想を日常生活に取り入れていたといわれています。海外企業のリーダーだけでなく国内の大手企業でも瞑想をビジネスツールとして取り入れているそうです。瞑想は睡眠導入に加え、日々の仕事などのパフォーマンスを上げることが期待できるのではないでしょうか。瞑想とともに身体のほぐすヨガに挑戦したくなってきたのではないでしょうか。
おすすめのヨガ体操
それでは早速、睡眠効果があるとされるヨガポーズのご紹介をしていきたいと思います。ヨガというと体をひねったり、伸ばしたりする動作をイメージが強く、身体の柔らかさに自身の無い方は少し不安を感じるかもしれませんが心配ありません。自分の出来る範囲で少しずつチャレンジしてみることが大切です。
「シャバ・アーサナ」
「シャバ・アーサナ」は、ヨガの中でも最も睡眠に効果のあるポーズであるといわれています。「シャバ・アーサナ」の意味は死者、屍のポーズともいわれています。死者のポーズと聞くとなんだか怖く感じるかもしれませんが究極のリラックスポーズであるといわれていますので是非試してみて下さい。睡眠に効果のある「シャバ・アーサナ」のポーズについて手順をお伝えいたします。
1:布団やマットの上といったやわらかい場所に仰向けになります。
2:腕は程よく開き・足は肩幅に開きます。その時手のひらは天井に向けましょう。
3:全身の力を抜いてリラックスします。呼吸はゆっくり深く行うことを意識して下さい。
4:深呼吸はしっかり腹式呼吸をする。
5:お腹のおへそあたりに集中して空気を溜めこむイメージで吸い込みます。吐き出す際は吸い込んだ時より倍の時間を掛けてゆっくり吐き出すことがポイントです。
この様に横になって深呼吸するだけのポーズです。ヨガのポーズの中でも簡単なポーズとなり、とくに体の柔軟性が必要ありません。シャバ・アーサナは精神を安定させて、心穏やかな眠りを誘う効果があります。
「チャイルドポーズ」
もう1つ快適な睡眠にお勧めのヨガはチャイルドポーズです。これは四つん這いになって行うポーズです。猫が伸びをするようなイメージで、固まった体を伸ばしてくれる効果があります。強張った身体が伸びて気持ちいいと感じるポーズとなります。チャイルドポーズの手順についてご説明いたします。
1:マットやベッドの上で四つん這いになります。
2:上肢は肩幅・下半身は腰の幅で開いてください。(土下座のようなポーズです。)
3:ゆっくり深く息を吸い込んで吐くタイミングで下半身を後ろに引いて、かかとの上に乗るまで引きます。
4:上半身は前に倒して両手は前に伸ばしましょう。
5:呼吸を吐くときはしっかり体の力を抜きます。
チャイルドポーズは、ヨガの中でも休息のポーズともいわれ、身体だけでなく精神面を深くリラックス状態に導いてくれるポーズとなります。
睡眠に効果的なタイミング
シャバ・アーサナやチャイルドポーズは手軽にできるポーズとなりますので、ぜひ日常生活に取り入れていただくことをお勧めします。睡眠によいといわれるヨガですが、いつ、どのようなタイミングで行うのがよいのでしょうか。ヨガを行う際のポイントについていくつかご説明いたします。
平日は帰宅したらご飯を食べたい、早くベッドで横になりたい、お風呂に入りたいなどやることが様々あるかもしれません。いくつかのポーズだけを行うのであればヨガを行うのに時間はかかりません。しかし、せっかくヨガを行うのであれば、ゆったりとリラックスして行っていただくことが大切です。睡眠に効果があるポーズとなりますので、「寝る前」に落ち着いて行っていただくことをおすすめいたします。入眠前にヨガを行うことで体の内臓のはたらきが活発になり、血液循環がよくなりますので快適な睡眠を手に入れることとなるでしょう。
明るい照明の下で行うのではあなく、薄暗い照明の下で行う事でより精神を集中することができるでしょう。ヨガの際に、アロマや音楽を同時に活用することも効果的です。
ヨガを行う際には、ゆっくりとした動きに加え、呼吸に意識することが大事です。力を抜いて、何も考えないことは最初、難しいと感じるかもしれません。少しずつ身についてくる動作となりますので、日々続けてみて下さい。忙しい日々に追われている方こそ寝る前の短時間でも集中してリラックスする時間を持つことが快適な睡眠へとつながっていくのです。
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